一滴一滴のしずくを集め        日教組HPより

 日教組は、1951年以来半世紀にわたって全国的な教育研究活動(教研)をすすめてきた。年に1回、教育研究全国集会(全国教研)を開催し、全国の教職員が実践、研究した成果を交流しあってきた。教研のことを丸岡秀子さんはこうあらわした。

 「教研も日光集会にはじまって、いま源泉をでようとしている。一滴一滴のしずくを集め、沢の水を呼び、支流を合わせて、勢いを増そうとしている。……そのころの雑誌に「日本の良心が日光にあつまっていた」と書かれていた。わたしはそれを気恥ずかしく思うまえに、会場を満たす表情に、ときどき涙をのみこむことがあった。その一つは靴のことである。分科会場にはいろうとすると、そこにぬがれていた靴の多くは、こう薬(いまでいうばんそうこう・筆者)が張ってあり、底もちびていた。……教研がどんな意地悪い批判を受けたにしても、この破れ靴で冷たい道をここまで自分を運んで来た人たちのめざしていた熱い心に、水をかけることはできないだろうと思う。」(『ある戦後精神』1983年 一ツ橋書房)

 これほどに日本の教職員の熱意が集結したものだった。石川県内では、分会で研修会があり、10支部それぞれで教研が開かれ、
各支部の代表レポートが持ち寄られ県教研が開催され、さらに各分科会から全国教研へのレポートが選出される。全国からこのようにして集まったレポーターが共同研究者とともに討議をふかめます。県教組の資料室には、私たちが小学生の頃からの教研のまとめが残されています。

 そして全国教研は、今年1月埼玉で53回目を迎えた。初日の全体会には、全国から3,000人の教職員が参加し、地元の埼玉教職員組合、埼玉高等学校教職員組合や子どもたちが「原爆の図」がある丸木美術館などを寸劇で紹介し、人権や平和の大切さを訴えた。2日目からは、26の分科会に分かれて、約850本の実践報告をもとに話し合いをすすめた。
 また、「学力問題」の特別分科会では、シンポジウム「『私たちのめざす学力』〜ゆたかな学力を育むため、学校と教職員の役割を問い直す」を開催した。シンポジストからは、「学力低下が喧伝され、塾など教育産業の影響力の増大や家計の教育費負担増と階層格差の拡大につながっている」などの意見が出された。また、全国から、基礎・基本の定着や教科と関連づけた総合学習などの実践が報告された。
 一方で世界の教職員とともに、あるいは女性が連帯してそれまでの運動を「母と女教師の会」(現、全国母と女性教職員の会)としてまとめた。毎年、夏には集会をもち、平和の大切さを確認している。また、自らの実践を磨き、力量を高めるため「自主編成研究講座」をつくり、現在も「教育課程編成講座」として続けている。

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