勤務時間中の仮眠時間は労働時間か?

 深夜の勤務時間中に設けられている仮眠時間は、割増賃金が支払われる労働時間かどうかをめぐり、三重県四日市市の消防職員と市が対立。「仮眠は休憩」とする市に、ほぼ全職員の有志280人でつくる市消防職員協議会は、賃金支払い請求訴訟も辞さないとしている。
 協議会によると、四日市市の消防職員の勤務は昼夜の2部交代制。夜勤は市消防本部や各署などで午後5時から翌日の午前8時30分まで拘束される。仮眠は午後10〜翌午前5時の7時間のうちの4時間半が認められており、仮眠中に出動した場合には、時間外労働の割増賃金が支払われる。労働基準法は、午後10〜翌午前5時に働いた場合、深夜勤務として割増賃金を支払うよう定めている。市は、慣例でこの7時間のうち、5時間分に割増賃金を支払ってきた。
 しかし、昨年4月から、市は4時間半の仮眠時間を休憩として差し引き、2時間半分だけを、割増賃金の対象とすることに変更。このため、月収35万円の職員で約1万円の減収になった。市消防本部総務課は「5時間分を支払ってきたこれまでの扱いが特異だっただけ。仮眠時間を休憩と扱うのは全く問題ないと考える」としている。
 協議会は「仮眠中でも出動に備え緊張を強いられている。金の問題ではなく、市民の安全を守る消防職員の労働態勢を考える機会にしたい」と話す。今後、仮眠時間分の賃金支払いを市公平委員会に請求。認められなければ提訴する。
 消防職員の仮眠時間を、総務省消防庁は「出動の可能性があっても労働時間とはいえない」(消防救急課)としており、四日市市は、この見解にのっとっている。各地の消防も同じで、名古屋市は、1,100円の夜間業務手当はつくが、6時間の仮眠時間は労働時間と認められていない。
・横浜市では2006年7月、消防職員が休憩時間は実質的に労働時間として、市人事委員会に超過勤務手当の支払いを求めたが、認められなかった。
・愛知県警では、交番勤務の休憩・休息時間は事実上休めないとして、警察官が超過勤務手当を求めた訴訟があったが、1998年に名古屋地裁が請求を棄却した。
・民間では、宿直勤務中のビル管理者の仮眠時間を労働時間と認めた判決が2002年に最高裁で出ている。「実際に作業をしていなくても、会社の指揮命令下にある限り、労働から解放されていない」が理由だった。
 この裁判を担当した森井利和弁護士は、四日市市の消防職員の主張について「実態にもよるが、常に出動に備えなければならない休憩時間を、労働時間と位置づけるのは当然」と話している。

「労働からの解放」っていうことばがあるんだ…。以前、主任研修なるものに出たとき「教特法21条にあるように、あなたたちは、絶えず研修に努めなければならない。この場合の絶えずというのは勤務時間だけではなく、24時間365日、教員としての自覚を持って研修に努めなければいけない…」と。「労働からの解放」とは逆の発想ですね。精神疾患の急増との関連は?

出生地による教育格差1000倍以上

1.教育格差の実態
 
出生地により、子どもが受けられる教育費に1000倍以上の格差
トップのルクセンブルグは、子ども一人当たりの初等教育費は
12千ドル(126万円)以上、最下位のラオスは12ドル(1,260円)で、その格差は 1000倍以上です。その他、紛争の陰が色濃いアフリカのチャドは18ドル(1,890円)、日本は8,148ドル*855,540円)です。[出展:ユネスコ統計研究所。*OECDEducation at a Glance 2007
 
2.教育格差の理由
 紛争が大きな要因。子どもが教育を受ける機会と他国からの支援に影響
学校に行かない子どもの半数に当たる
3,700万人は紛争国に住んでいます。教育支援を外部に依存していることが多いそのような国へは世界の教育援助額の 20%以下しか届いていません。紛争の影響下にある子どもたち全てが教育を受けるには、52億ドル(5,460億円)相当の教育支援が必要と言われています。
各国の国民総所得に基づき
52億ドルの支援負担額を算出すると、日本に期待される支援は、初等教育期の子ども一人あたり6.66ドル(699円)です。しかし実際日本からの支援は0.87ドル(91円)にしか達していません。達成率は13%です。他の先進諸国を見ても100%に達しているのはノルウェーのみで、アメリカ15%、オーストラリア1%など、軒並み低い数値を示しています。

3.最も紛争の影響を受けた国でも大きく実る教育支援
支援を多く受けられたアフガニスタンでは、
2005年までの6年の間、支援額が700万ドル(73,500万円)から24,300万ドル(255億円)に増加し、新たに初等教育を受ける児童の数も95万人強から430万人強と、4.5倍の伸びを示しました。一方、支援が少なかったコンゴ民主共和国は、支援額が1,100万ドルから5,700万ドル、新たな就学者は100万人程度しか増加しないなど、国による違いが明らかになりました。 [本文中の円表示は概算です]

“Rewrite the Future”活動レポート 〜 Last in Line, Last in School 2008 〜 より

日本の中にも問題山積ですが、国際的に見ると、日本が果たさなきゃいけない役割というのもあるだろうなぁ…

地方公務員の人件費カット、都道府県の8割弱

 地方公務員の給与の削減傾向が強まっている。都道府県職員の07年度の平均給与月額を集計したところ、前年度を下回ったのが全体の8割弱、36都道府県に上ることが分かった。
 各都道府県の職員平均給与(
07年4月分、時間外手当など諸手当を含む)を集計。職員の平均年齢は前年同期より0.3歳高い43.6歳。給与が前年割れした都道府県は06年度の集計より11増加。一方、従業員1000人以上の大企業の平均給与月額(男性、厚生労働省調べ)と単純比較すると北海道や東京、大阪など11都道府県が民間を下回った。大企業平均を下回る都道府県は05年度に806年度は10と増えている。
 地方財政立て直しには歳出総額の3割を占める人件費にメスを入れるのが不可欠と判断。基本給カットや各種手当を見直す動きが広がっている。

これも小泉・安倍改革の遺産なんだけど、財政健全化法というのがあって、普通会計と公営事業会計を合わせた連結実質赤字比率などをもとに自治体破綻基準を設けるようになったのです。で、夕張破綻の件もあり、破綻しないために手を打たねば…、財政支出の2/3は人件費だ…と。地方公務員の人員削減を続け、福祉・医療・教育を削り…、公共サービスを低下させ…。サービスが低下すればするほど不満がたまり、公務員バッシングにつながる悪循環。税の配分というか、税源移譲の問題というか、もっと抜本的な公務サービス全体のありかたの問題だと思う。

教諭の過労死 公務災害と逆転認定

 長崎市の県立高校で野球部長を務めていた男性教諭(当時52)が急死したのは、部活動の指導など長期間の時間外勤務が原因として、地方公務員災害補償基金長崎県支部審査会が公務災害と認める裁決をした。
 同支部は、公務災害とは認めていなかったが、遺族の不服申し立てに基づいて第三者機関の審査会が審査し、逆転裁決となった。
 教諭は約30年間、野球部を指導。04年4月に赴任した学校では実質的な監督として、平日は午後8時半ごろまで、休日は午前8時ごろから午後7時ごろまで指導した。04年7月、授業の準備中に心筋梗塞(こうそく)で倒れ、翌日死亡。遺族は公務災害認定を申請。
 支部は、基準の一つ「週30時間以上の時間外勤務」について認めたが、教諭は経験が豊富な上、休養の時間もあったとして「肉体的、精神的な苦痛はなく、発症の原因になるような疲労の蓄積は認められない」と公務災害とは認めなかった。
 これに対し、弁護士や医師らでつくる審査会は07年10月の裁決で、休日も含め長期間にわたって時間外勤務が続いていたことから「身体に変調を及ぼすことは容易に推測できる」として公務災害にあたると判断。これを受けて支部も公務災害と認定した。

「週30時間以上の時間外勤務」「休日も含め長期間」で認定されたか…。土日に1日部活動をする人って、平日もしているだろうし、この基準に該当する人、少なくないんじゃない? まだ公開はしていないけど、石川県の昨年度の精神疾患での休職者、前年の倍増? 何とかしなきゃ!!

教員の長時間労働の違法性認める 京都地裁

 京都市立小中学校に勤務する教員9人が京都市に対して超過勤務の是正を求めていた訴訟の判決が23日、京都地裁であり、中村哲裁判長は、原告の1人に長時間労働に対する安全配慮義務違反を認める判決を下しました。
 訴訟は
04年1月に、毎月平均80時間を超える残業を強いられている実態を変えようと「超過勤務を是正してもっと子どもたちと向き合う時間を」と訴え、損害賠償と慰謝料を求めていたもの。
 判決では、超過勤務が月100時間超の教員1人について「健康の保持に問題になる程度の少なくない時間外勤務をしていたことを踏まえると、それによって法的保護に値する程度の強度のストレスによる精神的苦痛を被った」として、違反を認定し、慰謝料
50万円の支払いを命じました。残り8人の訴えは棄却しました。判決後の報告集会で「提訴以来4年越しのたたかいで、一穴とはいえ打ち破ることができました。この判決をさらに前進させ、教師が子どもたちと向き合える教育現場を取り戻したい」と語りました。
 弁護団の村山晃弁護士は「校長や教育委員会に長時間労働の安全配慮義務を問うた判決の意義は大きい。学校現場に長時間労働がまん延していることを認め、違法と認定したことを武器に運動を前進させたい」と話しました。

コンプライアンス(法令遵守)ということばを使って、長い間に築いてきたものをことごとく奪い去ったのに、自らは法令を遵守していない。石川県では、もっとも基本となる、労働者(教職員)の勤務時間を管理するということさえも、使用者側(管理職・教委)はできていない(しようという意欲もみえない)。他県では…、あの東京都でさえ、労働安全衛生法の改正を受け、勤務時間の管理をはじめたのに…。

教諭の自殺を公務災害と認定 東京高裁

 旧大東町(現掛川市)の小学校教諭だった尾崎善子(当時48)さんが自殺したのは過重労働が原因として、遺族が地方公務員災害補償基金県支部に公務災害の認定を求めた訴訟で、東京高裁は公務外とした一審判決を破棄し、同基金側に公務認定するよう命じた
 判決によると、尾崎さんは2000年1月、体験入学してきた男児が、同級生らに暴力を振るうなどしたことから、うつ病を発症。4カ月の休職後、同年8月に自殺した。
 最大の争点だった仕事と自殺の因果関係について、浜野惺(しずか)裁判長=退官のため渡辺等裁判長代読=は「体験入学の公務としての過重性は優に肯定できる」と指摘。「仕事は問題ではなく、体験入学への過剰な拒否反応からうつ病になった」として請求を棄却した一審判決について「尾崎さんの性格を理由に退けており、到底理解できない」とした。
 原告側の代理人弁護士は「教員の公務災害認定は極めて珍しい。精神疾患の教員は増えており、判決の意義は大きい」とコメント。尾崎さんの弟の正典さん(54)は「判決を機にうつ病への理解が進み、自殺を未然に防げるような社会になってほしい」と話した
 同基金県支部は「判決内容を精査し、対応を検討する」とした。

労働安全衛生法の改正や、先の判決(2月)を受けてか、流れが変わってきたように感じますね。特に1審判決に関しての「性格を理由に退けており、到底理解できない」としたのは、管理職や教委に聞かせたいことばですね。精神疾患(うつ病)の増加に関して、昨年度末の折衝でも暗に管理職の責任だと示唆したのに…「勤めているみんなが病気になるわけじゃなく…。個人の資質というのも…」との発言を聞いてガッカリしたのを覚えています。この判決が生きるようにしなきゃいけないし、これを機に働きやすい学校にしていかなきゃ…と思いました。
あっ、勤務労働関係はわたしの担当だ…!! 

中教審 教育振興計画を答申

中教審が答申した「教育振興基本計画」は、わたしたちが求めていた教員増などの数値の明記がなかった。財務が反対したと思われるが、国として財政面も含めて教育政策の明確な方針を示す必要がある。一方で「『教育立国』の実現に向けて」との副題がついた基本計画の重点事項に「確かな学力の保証」や「教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり」などをあげている。そのために「必要な教職員定数を措置する」「現場の情報通信技術(ICT)化を進める」などを並べ、「教育投資の充実」を訴えているが、具体的な数値は明記していない。
 この計画に基づき教育政策を進めるのなら、財政支出を講じ、教員増も必要であることは明白なのに、財政措置が確保できずに行うということは、教職員の多忙化に拍車をかけるだけではないのか。教職員を増やせない理由は、「骨太の方針2006」の「五年間で一万人程度の純減」、「行政改革推進法」での「児童生徒の減少に見合う数を上回る数の純減」の明記があるからだ。
 東京都は低所得世帯に受験生の塾費用を無利子で貸し出す。公教育放棄との批判もあるが、学力対策が塾任せとなっている現実を見ての政策でもある。大阪府は公立小学校の低学年で実施中の35人学級を廃止する案を明らかにした。基本計画で提言する少人数指導には逆行するが、財政状況が苦しいからだ。

下の記事の「教育指標の国際比較」を公表し、財務に対して財政的な裏づけを求めても、小泉政権下の骨太や行革推進法を口実に抑えられてしまう。省庁の力の差と言えばそれまでだが、国の方針として、どこへどれだけ支出するのかメリハリをつけて欲しいんだけど…。全体の割合を変えずに、その中でメリハリを求める骨太や行革推進法には断固反対していかなきゃ!!
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